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長崎大学・横浜市立大学、生成AIを活用し診療録の非構造化データからの情報抽出を実現するEDCを構築

― プライマリ・ケア診療の意思決定プロセス解明へ ―

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2026年3月より、長崎大学は「プライマリ・ケアにおける呼吸困難の診療の実態と臨床医の思考プロセスに関する研究(予備的調査)」において、横浜市立大学・TXP Medical株式会社(代表取締役:園生 智弘)と連携し、Electronic Data Capture(EDC)システム「NEXT Stage EDC」の運用を開始します。

本研究は、診療録データの後方視的レビューを通じて、プライマリ・ケアにおける呼吸困難患者の診療において、医師がどのように多因子的要素を評価し、臨床判断および介入方針決定を行っているかを明らかにすることを目的としています。


生成AIを活用した次世代型EDC基盤

本研究では、従来は研究者の手作業に依存していた診療録レビュー工程に対し、生成AIを活用したデータ処理機能を実装します。

●OCR機能による診療録文章の高精度抽出
●生成AIによる文脈理解に基づく情報抽出

これにより、非構造化データに含まれる臨床的判断の文脈を、研究に活用可能な形へと変換することが可能になります。

特に本研究では、「医師の思考プロセス」という定量化が難しい領域に挑戦します。生成AIを活用することで、単なるデータ転記ではなく、テキスト情報として蓄積されている診療記載の背後にある判断構造の可視化を実現します。

TXP Medicalは、AIを用いた研究DXの取り組みを多方面に進めています。今後も医学的エビデンスの創出を加速すべく、最新技術を利用した研究DXの推進に務めてまいります。


■関係者コメント

【長崎大学大学院医歯薬学総合研究科総合診療学分野 准教授 山梨 啓友】

プライマリ・ケア領域において、診療録という非構造化テキストデータを本格的に解析対象とするEDC基盤の構築は、これまで十分に取り組まれてこなかった新しい挑戦です。本技術により、臨床現場に蓄積された医師の思考プロセスや判断の文脈を研究資源として活用できる可能性が広がります。
今後、Practice-based Research Network(PBRN)を通じた多施設共同研究に展開することで、プライマリ・ケアにおける新たな研究フィールドの創出と、実臨床に根ざしたエビデンスの構築につながることを期待しています。

【横浜市立大学大学院データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻 准教授 金子 惇】

今回の研究では呼吸困難診療における臨床医の思考プロセスにフォーカスしますが、今後は生成AIのプロンプトを変更することによって様々なリサーチクェスチョンに対応した情報を診療録から少ない労力で抽出することを目指しています。このシステムがプライマリ・ケアにおいて取り扱われている健康問題の幅広さや深さ、それに対応する医師の思考過程を見える化し、患者アウトカムとの関連を検証していく一助になると考えています。

【TXP Medical株式会社 代表取締役 園生 智弘】

「診療録には、医師の臨床推論の軌跡が記録されています。しかし、それはそのままでは研究データとして扱うことが困難です。本研究では、生成AIを活用し、臨床文脈を尊重しながら研究に必要な情報要素の構造化抽出を実現します。AI技術を活用することによって、臨床研究におけるエビデンス創出も大きく加速することが期待されます。」


【TXP MedicalのNEXT Stage EDCの特徴】

EDC(Electronic Data Capture)システムは、臨床試験におけるデータ記録や症例登録をオンライン上で行うシステムです。 TXP MedicalのEDCは、研究に精通した医師が構築をリードし、項目判別の容易さや入力支援機能、電子カルテの検査データをOCRで電子化する機能などを実装することで、臨床研究を成功に導きます。ユーザーフレンドリーな設計により、カスタム開発を迅速に実施でき、コスト・柔軟性・スピードのすべてにおいて優れています。
また、電子カルテ上で動作する急性期医療データプラットフォーム「NEXT Stageシリーズ」とQRコード等を用いて一部項目を自動連携することも可能です。
2024年以降は生成AIを用いた自動登録機能を搭載し、症例集積の効率化にも寄与しています。

【EDC(Electronic Data Capture)とは】

担当医師・スタッフが得られた臨床データをPC端末等から電子的に入力するシステム。研究者や事務局がリアルタイムでデータを監視・確認できる仕組みを提供します。

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