2026.09.04
プレスリリース・プラットフォーム広島県における救急医療DXシステム「NSER mobile」の実証実験データを活用した研究論文が、国際的な英文学術ジャーナルに掲載

TXP Medical株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 CEO:園生智弘、以下「TXP Medical」)のリサーチチーム(柴田潤一郎、後藤匡啓ら)は、広島県救急搬送支援システム実証実験ワーキンググループおよび広島大学の救急集中治療医学所属の医師らと協力し、救急医療情報システム「NSER mobile」を通じた記述的観察研究を実施しました。本研究成果は、2026年8月26日に査読付き国際学術誌『Scandinavian Journal of Trauma, Resuscitation and Emergency Medicine』に掲載されました。本研究は、救急現場におけるデジタルプラットフォームを活用したリアルタイムなデータ収集の実現可能性と、地域集団ベースでの救急搬送データの特徴を学術的に明らかにしたものです。
【背景・課題】
近年、日本の救搬送の需要は着実に増加しており、2023年には救急車の出動件数が全国を通じて過去最多の760万件を記録しました。しかし、救急業務の現場ではいまだに紙ベースの記録や電話連絡に依存しており、これが病院との調整業務の非効率化や受け入れ決定の遅れにつながるという課題を抱えています。
この課題に対処するため、広島県では第一期実証実験として2023年10月に東広島市を除く県内全域の救急隊に「NSER mobile」が導入され、救急ワークフローのデジタル化と集団ベースの病院前データ収集の基盤が構築されました。本論文は、実証実験により収集されたデータを記述的に分析したものです。
【研究の概要】
■ 目的
「NSER mobile」のシステムを記述するとともに、2023年10月から2024年12月までに同アプリを用いて収集された広島県内の救急搬送データについて、病院前データを分析すること。
■ 使用データ・対象
使用データ:広島県の救急搬送データ(NSER mobileより集計)
対象期間 :2023年10月〜2024年12月
対象症例: アプリが使用された147,213件の救急搬送症例
【主な成果・知見】
対象期間中にアプリ導入地域で報告された151,303件の救急搬送のうち、147,213件(97%)で本アプリが使用されており、日常的な救急業務において極めて高い普及率が確認されました。
分析対象の147,213件の内訳は、通常の救急搬送が129,855件、心肺停止モードでの搬送が1,988件、病院間転院搬送が15,370件でした。
通常の救急搬送患者の年齢中央値は75歳であり、65〜84歳が39%、85歳以上が26%と、高齢者が大きな割合を占めました。
病院選定において、66%のケースで最初に要請した病院に受け入れられ、1病院あたりの交渉時間の中央値は5.2分でした。
文字入力の手間を省く光学式文字認識機能は全体の74%のケースで使用されており、現場の負担軽減に寄与している可能性が示唆されました。
【本研究の意義と今後の展望】
本研究により、「NSER mobile」が県単位という大規模な範囲において、標準化された病院前データをリアルタイムで収集する基盤として機能することが実証されました。広島県における第二期実証実験の取り組みを引き続き支援するとともに、TXP Medicalとしては本プロジェクトで得られたデータ共有の仕組みを軸に、救急搬送業務の効率化と高度化を目指して参ります。
【掲載・発表情報】
掲載誌: Scandinavian Journal of Trauma, Resuscitation and Emergency Medicine
掲載日: 2026年8月26日
論文タイトル: Population-based implementation of a mobile emergency medical service platform in Hiroshima, Japan
著者Shibata, J., Goto, T., Nishida, T. et al
DOI: https://doi.org/10.1186/s13049-026-01682-6
【救急医療情報システム「NSER mobile」について】

「NSER mobile」は、救急隊が現場で収集する患者情報(バイタルサイン、既往歴、お薬手帳など)をスマートフォンやタブレットからOCR(画像認識)や音声入力を用いて迅速にデータ化し、医療機関にリアルタイムで共有するTXP Medicalの提供する救急搬送システムです。これにより、受け入れ要請の効率化とデータに基づく救急医療の質向上を支援します。



